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かお
キャラ別エピソード
 
このコーナーでは13人の紹介のほか、劇中の印象的なエピソードをキャラクター別に分類して紹介しています。


ロディ・シャッフル
2044年8月11日生まれ・14歳・O型

本篇の主人公。家族でクレアド星に入植していたが、異星人の突然の攻撃により弟のフレッド達と共にクレアド星を脱出、ジェイナスに乗り込む。感受性が強く、持ち前の行動的な性格でRVバイファムのパイロットとして活躍。物語後半は心身ともに成長し、よきコンビである同い年のバーツと身長も並んだ。憧れの人であったケイトの死をきっかけに大きく成長、また異星人であるカチュアとの心の交流は、地球とククト星を跨ぐ形での物語後半の大きなキーポイントとなった。第1話の初登場シーンでも分かるように実はサッカー少年である。

ロディは、当時から非常に好きなキャラクターでしたね。裏表がなく、わざとらしいカッコつけをするわけでもない。同性にも素直に存在を受け入れてもらえる典型的なタイプなのではないかと思います。それまでのロボットものの主人公と違って特殊能力がないぶん、非常に親近感が感じられるキャラクターでした。当時は「主役にしては目立たない」とか言われてましたけど、シリーズ後半の活躍ぶりで個人的には溜飲を下げた記憶があります。もっとも、ククト兵との格闘(第28話)とかは明らかにやりすぎだとは思いましたし、突出して行動することが多くなった結果、カチュアを除く他キャラとのコミニュケーションの量が見るからに減ってしまったのは残念でしたが。
「13」でまったく目立たなくなってしまったのは意図としては分かるんですけど、個人的には非常に不満でしたね。制作側の意図がどうであろうが、すでにオリジナルシリーズ後半でロディのキャラクターが確立してしまっている以上、それに則った形で話を進めるのが妥当だったのではないかと思います。
あと余談ですが、13人の中でいちばん「声優さんご自身のキャラに最も近い」キャラクターだったのではないかと思います。当時のアニメ誌などへの難波さんの露出度の高さを差引いて、ロディというキャラクターは語れません。
(MAGI)
【1】弟のフレッドやペンチとともにクレアド星から脱出
【6】バーツとともにケイトの水浴びを覗く
【6】バーツと水浴び
【15】ケイトとキス
【17】ケイトの死にショックを受け、カチュアを責めてしまう
【21】バーツに誘われ、エロ本に熱中
【27】タウト星に侵入して捕らえられ、尋問を受ける
【29】ミューラアとの出会い
【31】寒がるカチュアに上着をかけてやる
【31】毒虫に噛まれるが、カチュアに助けられる
【36】川に飛び込み、溺れかけたユウを救助
【40】捕虜となったミューラアに会いに行く
【41】人質として連れ去られたカチュアを追い、ミューラアと対峙
【44】ミューラアと最後の対決



バーツ・ライアン
2045年9月26日生まれ・14歳・B型

ベルウィック星に入植していたが突然の異星人の攻撃に逃げ遅れ、放置されていたRVディルファムに乗り込んで市街戦をしているところをロディ達と出会い、メンバーに加わる。子供達の中ではロディと共にスコットに次ぐ年長者であり、冷静な判断で彼をサポートする。同い年のロディとは公私共に仲がよく、良いコンビである。11歳の時に母親をなくした経験からか大人びた一面を持ち、公私共に子供達のよき兄貴分として指針役となることが多い。戦闘時は主にRVネオファムに搭乗。ベルウィックにいた当時改造車で事故を起こし大怪我を負うが、義母ミレーヌの輸血で一命をとりとめたエピソードを持つ。4歳離れた姉がいる。

放映前にキャラクターの設定資料を見た時は「あ、何か事件があるたびに主人公と対立するようなキャラクターなんだろうな」と思っていたのですが、劇中ではそういうシーンはまったく見られず、ある意味意表を突かれた思いでした。初登場のシーン(第4話)で、ロディに「君も来いよ。俺はロディ」と言われた時も、てっきり反抗するだろうと思っていたんですけどね。
そういう意味ではライバルキャラとしては画期的なキャラクターでしたし、主人公と同年齢にこういうキャラを配置してロディの成長譚を描くことに成功したことは、バイファムという作品の大きなポイントだったと思います。ロディよりも年齢が上だったらいかにも「年長者が教えてやる」みたいになってて嫌味ったらしくなってたはずですしね。あと、同じ理由でスコットよりも年下というのも絶妙のバランスだったと思います。バーツが13人の実リーダーだったのは公然の事実ですが、そこできちんと年上のスコットを立てていたのがバーツらしいといえそうです。もっとも、うまく利用していたという見方もできないではないですが。(笑)
あと、マキとくっつくのは既定方針だったとは言え、第34話のシーンは非常に印象深いものでした。家族との秘めた過去的なエピソードが語られたのは13人の中で彼のみだっただけに、全篇を通して見た中でも印象的なシーンのひとつです。彼を単純に「主人公のライバル役」にはめこんでしまっていては実現し得なかったエピソードですね。
(MAGI)
【4】ディルファムを操縦して初登場。歯を1本失う
【6】ロディとともにケイトの水浴びを覗く
【6】ロディと水浴び「ほー、おたくご立派」
【10】子供達数人とジワイメルウ基地に向かうも敵と遭遇、トラックを敵艦にぶつけようとする
【13】初の宇宙戦闘を経験、敵の直撃弾を食らい一時的に気を失う
【21】ケンツを探す途中、倉庫でエロ本を発見。ロディを引きずり込み、その後スコットを罠にはめる
【22】ローデンに銃を向け、このままジェイナスがタウト星に向かうのを認めるよう要求する
【29】収容所の壁に書かれた両親からのメッセージをルチーナに読んでやる
【34】廃虚の中、マキに自分の母親の話を聞かせる
【39】スコットとクレアの間に入り、誤解を解こうとする



スコット・ヘイワード
2043年1月3日生まれ・16歳・A型


13人の中では最年長の15歳(タウト星に向かう途中で誕生日を迎えたため、物語後半は16歳)。クレアド星の移民局で働く父の関係でクレアドに移民していたが、突然の異星人の攻撃によりベルウィック時代からの知り合いであるクレアと共にジェイナスに避難してくる。多少優柔不断な面はあるものの、最年長者であることからクルーのリーダーに就き、的確な判断でジェイナスの指揮を執る。物語後半はコミカルな面がクローズアップされることが多かったが、それでもなおリーダーとしてクルーから絶大な信頼を得ていたのはひとえに彼の誠実な性格ゆえのものであろう。

事前に設定を見た時からいかにも「年長者というだけで非常に頼りなげなリーダー」というイメージがあり、なおかつ第3話で年下のメンバーに馬鹿にされるようなシーンが登場したこともあって、最初は毛嫌いしていたのは事実です。が、やはり彼に対する印象が大きく変わったのは例のエロ本事件(第21話)ですね。その後お笑いキャラ的な描かれ方が多くなってしまったのは不幸ではありましたし、OVA以降の彼の描写ははっきり言って論外ですが、それでもきっちり締めるべきところで締めるのは彼のキャプテンとしての資質を表しているのではないかと思います。もっとも、ロディとバーツに立ててもらっていたからこそ彼のポジションが成り立っていたというのもありますが。この「実リーダーはバーツ=スコットは傀儡(笑)」という構図は、最終回に至るも変わらなかった気がします。これだけはバーツに感謝、ということで。
余談ながら、当時ファンロード誌で組まれたバイファム特集はこの第21話が放映される前に投稿されたもので、第21話までの彼が視聴者からどんなふうに思われていたかが見られる貴重な?資料です。
(MAGI)
【3】戦闘配置に志願しなかったことでケンツと口論
【10】ジープを操縦し、ミサイルでXU23aを撃墜
【12】ジェイナス発進にあたり、キャプテンに就任
【18】度重なるトラブルにキャプテンとしての自信を喪失する
【20】熱を出して倒れる
【21】倉庫内でエロ本を読みふけるも閉じ込められ、シャロンに見つかってしまう
【22】地球軍将校に変装してローデン大佐と通信
【28】ロディを救出するため練習用バイファムで出撃
【39】誤ってクレアの胸に手を入れる
【40】地球軍との通信を試みる
【43】盗まれたトレーラーを探している最中にミューラアと出くわす



クレア・バーブランド
2044年3月19日生まれ・14歳・O型


女性陣の中では最年長の14歳、軍属である父の仕事の関係でベルウィックからクレアドに移民していた。かつてガールスクラブの班長をしていたという経歴が示す通り性格はしっかり者で、当時からの知り合いであるスコットに対し女性陣のまとめ役として意見することも多い。クルーの中ではマルロやルチーナら年少者の母親役。潔癖症であり、真面目であるが故にヒステリーを起こしてしまうこともあるが、彼女の年齢と与えられた役割の大きさを比較するとむしろ当然のことかもしれない。

彼女こそ本篇のヒロインだと思いましたよ、絶対。80年代半ばに流行していたカラータイツ+ミニスカートというファッションやら、放映開始直後のアニメ誌での取り扱いやら。物語がスタートした直後から、「自分はクレアのファンだ」と公言していたものです。
まあ、それがストーリーが進むにつれてあんな地味な扱いになってしまうというのは全く予想していなかったんですが、やはり他のキャラとポジションがかぶっている部分があったんでしょうね。シリーズ後半はカチュアをメインに描くというストーリー展開上の方針もあってか、彼女は全く目立たないばかりか、ペンチと共に単なる後方部隊に成り下がってしまいました(ククトニアン少年少女篇での役回りがそれを象徴してます)。スコットのように第20話でリーダーらしいところが描写され、その後第21話で少年的な部分が強調されたのに比べ、クレアの場合は第19話で描かれた母親役というイメージに対比する部分を描くエピソードが何もなかった、というのは残念な限りです。第42話のようなシーンがもっと早い時期に登場していればよかったのではないかと思うんですけどねぇ。
あと、「13」の彼女は論外です。なにがって、胸が(笑)。
(MAGI)
【6】夜のキャンプ、スターダストを見ながら想いにふける
【11】ケンカをするケンツとシャロンをどなりつける
【19】マルロ、ルチーナとの入浴シーン
【19】スコット達が理解してくれなかったことでヒステリーを起こしてしまう
【39】胸に手を入れられたことがもとで、スコットを誤解してしまう
【42】シャトルに乗った父親と一瞬の再会



マキ・ローウェル
2046年11月15日生まれ・13歳・B型


13歳。クレアド星に移民していたが異星人の来襲により脱出を余儀なくされ、ジェイナスに乗船する。男勝りな性格で、戦闘時にはパペットファイターでロディやバーツを援護するほか、物語後半ではRVトゥランファムのパイロットとして活躍するなどメカやコンピューターの扱いにおいて器用な面を見せた。比較的一人でいる事が多いが、年齢が近いクレアとは仲がいい。帽子がトレードマーク。

筆者はもともと女性キャラの中ではクレアのファンなんですが、仮にバイファムという作品を今初めて見たとしたら、たぶんマキのファンになるんじゃないかなあと思います。ちょっと引いてサポートに徹するところとか、芯は強くて行動力もあり、それでいて感受性が豊かな部分も持ち合わせていたり。「行動力がある」を体現したかのような動きやすい衣装もポイントですね。なかなかグー。
では、なぜ本放映当時にマキに目が行かなかったかというと、これはひとえに物語序盤のマキが「男勝り」の意味を取り違えて描かれていたからに他なりません。第3話でケンツに喧嘩をふっかけるシーンなんか、明らかにキャラ設定の「男勝り」を勘違いした例ですもんね。単にガサツで暴力的なだけのキャラに見えてしまって、私はあれで完全に引いてしまいました。正直言って非常に苦手なタイプのキャラの一人でしたね。
が、さすがに物語序盤の彼女についてはスタッフもやりすぎたと思ったのか、物語が進むにつれきちんと「快活な女の子」らしい描写が目に付くようになり、そして第34話のあのシーン。かなりファン受けを狙った演出だったのは事実ですが、脚本レベルではかなり計算づくのエピソードだったと思いますし、あのシーンがあったことでマキというキャラクターがいっそう引き立ったのだと思います。惜しむらくは彼女を主役に据えたエピソードが(13を含めても)存在せず、いま一歩掘り下げて語られることがなかったことでしょうか。ま、それも含めて魅力のひとつではあるとは思いますし、いずれにせよ13人の中では欠かせないキャラクターなんじゃないかなと思います。
(MAGI)
【3】食堂でケンツと口論
【8】初めてディルファムを操縦
【10】食事の後、テーブルで居眠り
【13】パペットファイターで初の宇宙戦闘に参加
【26】ケンツとコンビを組み、トゥランファムで出撃
【34】廃虚の街の中、バーツに親の話を聞かされる



カチュア・ピアスン
生年月日不明・10歳・AB型


クルーの中で唯一のククトニアン。クレアド星の移住実験プロジェクトに所属していた両親から地球人に引き渡され、幼少時から地球人として育てられる。宇宙ステーションにいた時攻撃を受け、ジミーと共に救命カプセルに閉じ込められているところをジェイナスに救助された。性格は物静かで口数も少ないが、勘の鋭いことに加えてメカニックの知識もあり、操艦が不慣れな子供達の中でアドバイスを送る一方でキャプテンであるスコットの代理を務めることもあった。物語後半ではガンナーとしてトゥランファムに搭乗。最終回では地球に向かう一行と別れ、本当の両親を捜すためククトのコロニーに向かう。

アニメ誌などでは当初から「13人の中で唯一の異星人」ということが明らかになっていたこともあり、劇中でそれらのエピソードが明かされた時も個人的にはそれほどショッキングではありませんでした。なにせオープニングの最後のシーンでもワンカットで登場しているなど、明らかに意味深でしたからね。
とはいえ、さすがにシリーズ後半にロディとくっつくことになるとは全く予想できませんでした。当時はロディファンからのブーイングが殺到していたようですが(笑)、私的には別にアリかと思っていました。意表を突くいきなりの展開だったにせよストーリー上は必然性もありましたし、一緒にいるシーンでもバランスが取れてて似合ってましたしね。もっとも、スタッフの方がのちにムック本などで述懐しておられる通り、カチュアの設定年齢についてスタッフの解釈と公式設定に差があったようなので(公式には10歳、スタッフの解釈は12歳)、もうちょい公式設定の年齢を上げておいて、ロディがロリコン扱いされないような配慮は必要だったかと思います。(笑)
余談ですが、第11話あたりで彼女が予知能力めいた力を見せるシーンがあるわけですが、あのへんはストーリーの展開次第では実際にそういうシーンが見られたのかどうかは未だに気になるところです。 あと「13」での描写は残念の一言に尽きます。
(MAGI)

【4】脱出カプセルがジェイナスに救助される
【11】シャトルを飛ばす際に非凡な才能を見せる
【15】ククトニアンであることが明らかになる
【16】自分が異星人であることを知り、ジェイナスを飛び出す
【17】パペットファイターで出撃、宇宙船の残骸に閉じ込められたバイファムを救助
【20】病に倒れたスコットに代わり戦闘を指揮
【28】捕まったロディを助けようとタウト星に侵入
【31】虫にかまれたロディの指から毒を吸い出す
【33】シャワーシーン
【37】メルと共にククトニアンの収容所に潜入
【41】ミューラアに人質として連れ去られるが、ロディに救出される
【46】ジミーと共に一行と別れ、ジェダのシャトルでククトのコロニーに向かう



フレッド・シャッフル
2048年1月28日生まれ・10歳・A型


主人公ロディの弟。兄同様クレアド星から脱出し、ジェイナスに乗船する。行動派の兄とは対照的に内気でおとなしい性格であるが、その分コンピューターの扱いに長けており、ブリッジではオペレーターとしてスコットを補佐する。また負けず嫌いな面を併せ持っており、RVで出撃しようとする事もしばしば。アイデアマンでもあり、RVに高ゲタを導入することを考え付いたのは彼である。

当時のアニメやマンガで、主人公と行動を共にするメンバーの中に実の弟が含まれているというパターンは非常に珍しかったのではないかと思います。仮に兄弟がいる場合でも、キャラクターの性格設定をしていく中で一方が妙に暗かったり明るかったりなってしまうのが常ですが、ロディとフレッドの場合はそういうこともなく、非常にさっぱりした兄弟関係が描かれていて気持ちよかったですね。
本放映時は私自身それほど注目して見ていたわけではなく、第1話の「おもらし」シーンを超えるエピソードは結局出て来なかった、と思っていたんですけど(笑)、今になって物語を見てみると、兄弟入浴の話(第30話)や「雨上がりの再会(第32話)」、それに「カチュアを撃つな(第41話)」と、脚本が平野靖士さんの回に限ってフレッドの成長譚が丹念に描かれていることに驚かされます。特に第41話はフレッドがバイファムに搭乗するシーンがあるわけですが、これはやっぱり意図的に兄の後釜としてフレッドを配置したんだと思うんですよね。長い旅を経て成長したロディは一人の「大人」としてミューラアと対等に渡り合い、一方かつての兄と同じところまで成長した弟のフレッドは兄の愛機バイファムに乗って戦闘に参加するという。第1話ではおもらしをしていたあのフレッドが、です。この頃はストーリーが重要な節目にあったためにあまり注目されませんでしたが、このような細かい部分が劇中できちんと時間をとって描かれているところ自体に、バイファムという作品のよさがあるのではないかと思います。
(MAGI)

【1】異星人の来襲の中、恐怖のあまりおもらし
【8】ディルファムの高ゲタが外れ暴走
【30】兄ロディとの入浴シーン、「危ないことはしないで」と約束
【32】兄と涙の再会
【36】ペンチと一緒に毛布に包まる
【41】ロディに代わりバイファムで出撃



ペンチ・イライザ
2048年11月28日生まれ・10歳・A型


10歳。クレアド星に入植してきた直後に異星人の攻撃を受け、転入先のロビンソンスクールにいたロディとフレッドと一緒に避難する。本を読んだり詩を書いたりするのが好きな文学少女。潔癖症な性格から当初は同部屋のシャロンと仲が悪かったが、次第に名コンビとなっていく。母親が看護婦であることもあり、病人の手当や子供達の世話、また食事作りなどが得意。

放映開始当初は年長組のヒロイン→クレア、年少組のヒロイン→ペンチといった図式が定着しており、それはウェアパペットのプラモデルに付属するキャラクターの人選にも表れています。が、やはりキャラの性格設定の問題もあったのか、13人の中ではいまいち彼女のホジションは確立していなかったように思います。第14話や第21話など、彼女のキャラクターをなんとか生かそうとしたエピソードは幾つかありますが、それもどちらかというと「大いなる脇役」的なポジションであり、決定打には至らなかったようです。まあ、子供達だけで銀河を漂流しているという環境の中で「おとなしい文学少女」を効果的に描くこと自体、かなり難しいような気がするんですけどね。年齢的にお色気に走ることもできませんし、そのへんの苦心は第2クールあたりに顕著に現れているような気がします。
そして第3クールのククト星篇になると、この「おとなしい文学少女」的な描かれ方が徐々に影をひそめ、かなりキワモノ的な描写が目立つようになります。最終的にはこれによって自分のポジションを確立したと言えないこともありませんが、わざとらしい性格設定のキャラがいないことがバイファムのひとつの特徴だったことを考えると、彼女のキャラクターの変化を「是」とするかどうかは難しいところです。
(MAGI)
【1】空襲を避け、ロディ、フレッドとともにクレアド星を脱出
【14】ククトニアンのラレドを看病
【18】自動調理器の設定を誤り、133人分もの料理を作る
【21】シャロンと二人でケンツの入浴を覗く
【36】フレッドと一緒に毛布にくるまる



シャロン・パブリン
2047年5月3日生まれ・11歳・B型


クレアドから避難し、ジェイナスに乗船する。本篇中では協調性に欠ける行動が目立つが、オープンな性格ゆえ周りから非難されることは少ない。おばがジャンク屋であったせいか手先が器用で、高ゲタの溶接から携帯用トイレの自作までこなす。戦闘時には直接出撃することはなく、主に砲手を担当。ケンツとはよいコンビである。母はスペースダンサーで、離婚しているために父親はいない。食べ物の好き嫌いが多いことからも彼女の性格を垣間見ることができる。

当時の私にとって、もっとも苦手なキャラクターだったのが彼女でした。年が近かったせいもあるんでしょうが、やはり近寄り難い雰囲気なんですよね。特に第14話でのカチュアに対する接し方を見ているとなんだかイヤなキャラだなあと。シリーズ後半はそれほどではなかったとはいえ、男性から見て異性を感じさせるキャラクターというわけでもないですし、女性キャラの中でも注目度はとりわけ低かったといえます。
が、自分が大人になってから「バイファム」という番組を見た時、これほど気になるキャラクターはいないですね。彼女が一見突飛にも見える行動を取る理由やら、あと目立たないところで仲間のためにいろいろと尽くしているのが見えてしまったりして。本放映当時スタッフの方々がやたらと「シャロンをもっと書きたかった」と語っているのを聞いて「何故そんなにシャロンにこだわるんだろう?」と非常に不思議だったのですが、なんとなくその理由も分かったような気がします。そのへんのスタッフの想いが結実したのが新シリーズ「13」の第1クールだったわけですが、やはりこれらの物語はオリジナルのシリーズの一部として見たかったような気がします、そうすれば、当時の私にとってもシャロンのキャラクターが輝いて見えたのではないかと思います。もっともそれだけの読解力があったかどうかは別ですが…
(MAGI)
【8】高ゲタを溶接
【9】シャワーシーン
【15】カチュアが異星人である事を船内に広めてしまう
【17】ケイトのバンダナを入手
【21】ペンチと共にケンツの入浴を覗く
【21】エロ本とともに倉庫に閉じ込められたスコットを見つける
【35】携帯用のトイレを自作
【35】連れ去られたケンツを追いかけ、バズーカで彼のピンチを救う
【36】バイファムのお面をかぶり、ククトの子供達の前で熱演



ケンツ・ノートン
2050年7月9日生まれ・9歳・B型


9歳。軍人である父と兄の影響か、クルーきってのタカ派である。過激な言動ゆえ周囲に迷惑をかけることも多いが、本人は悪気があるわけではない。ニックネームは軍曹。普段からバズーカを携帯するなど兵器に関しては人一倍の愛着と知識があり、通常時には武器の保安点検を担当。アストロゲーターとの戦闘にも積極的に参加し、物語後半では主にトゥランファムのパイロットとして活躍。尻には蒙古斑があり、その縁もあって2つ年下のジミーとは仲がいい。

放映当初の私は、彼の存在にかなりムカついていました(理由についてわざわざ語る必要はないでしょう)。年が近ければ近いほど、彼のキャラクターは反感を持たれやすいタイプなのだと思います。バイファムキャラについては「実際に周りにいた場合に仲間として認められるかどうか」が大きなポイントだと思うのですが、そういう意味では序盤の彼は私にとって最悪のキャラクターでした。純粋に彼に感情移入して見ることができたエピソードは、彼がなんとかRVに搭乗しようとする第8話くらいだったのではないでしょうか。そして彼がカチュアを個人攻撃する第15話に至り、私のムカつきは最高潮に達しました。なんてイヤな奴なんだ、と。
が、このへんは物語に視聴者を引き込むための周到なシナリオだったんですよねぇ。第16話でカチュアを責めた自分の行動を後悔し、船を出て行った彼女に「早く戻って来い」と叫ぶケンツ、そしてシリーズ後半になってのガイ達との別れ(第38話)、そして最終回…。あまり個人にファンはつかないキャラであることは明らかですが、ストーリー上欠かすことのできないキャラであることは間違いありません。いやはや、お見事でした。
それにしても、第38話のガイ達との別れのシーンと、最終回。どちらかのシーンを別のキャラに振り替えることは簡単にできたはずなのに、敢えてそれをしなかった点に、バイファムという物語における彼の「主役度」を窺い知ることができます。
(MAGI)
【2】ジェイナスの無重力帯に迷い込み、感電
【3】戦闘配置に志願しなかったことをめぐりスコットと口論
【4】残骸を敵と誤認し、ビーム砲を誤射
【5】片足のディルファムを転倒させる
【9】バズーカを撃った事でジャーゴに発見され、追い回される
【18】ニュートロン・バズーカを試射しようと無断で船外へ
【21】シャロンとペンチに入浴を覗かれ、蒙古斑がバレる
【21】蒙古斑が縁でジミーと意気投合
【35】ガイ達に人質に取られ、連れ去られる
【44】ジミーに自分の弟になるよう声をかける
【45】ルチーナの誕生パーティーに便乗
【45】ジミーに空薬莢を手渡し、お礼にとハーモニカをもらう



ジミー・エリル
2052年3月10日生まれ・7歳・AB型


7歳。ベルウィックの宇宙ステーションでカチュアと共に避難カプセルで漂流しているところを救助され、ジェイナスのメンバーに加わる。普段は無口で行動もワンテンポずれたところがある一方、何故か食べ物に関する事については素早く、よくつまみ食いをしている。カチュアには心を開いており、彼女を守るためであれば普段からは考えられない過激な行動をすることもある。宇宙ステーションで両親が死亡したことを知っていながら、その後の旅の中でも気丈に振舞っていた。戦闘時には砲座を担当することが多く、射撃の名手である。特技でもあった愛用のハーモニカは兄貴分として慕っていたケンツに手渡され、最終回では一行と別れてカチュアと共にククトのコロニーに向かった。

バイファムの中では最も「異質」なキャラと言えるのが彼でしょう。極端なキャラクターを是としないバイファム世界において、他のキャラとは明らかに等身も違い、しかも無口。登場人物が多い作品には、たいてい彼のような「明らかに違う」キャラクターがいて、そして結局見せ場もないまま物語が 終わってしまう…ということはよくあるパターンだと思うのですが、そんな彼にもきちんと劇中で見せ場を用意したのがバイファムらしいと思います。
物語当初は単にカチュアの添え物(失礼)程度のキャラなのかなあと思っていたのですが、カチュアがククトニアンであることが判明する第15話をはじめとして、意外と直接的な行動に出るキャラクターであることが分かってからは見る目が変わりましたね。学校を始めとする実社会では一歩間違えば腫れ物にさわるような扱いを受けるキャラだと思うのですが、劇中で彼がそうならなかったのは(周りの12人が理解を示してくれたこともあるでしょうが)ジミー自身が自分のポジションについてよく理解していたからではないかと思います。
劇中で彼にまつわる描写にひとつだけ問題点があったとすれば、両親の死を知るまでの過程が劇中でうやむやにされてしまったこと。彼がいつ両親の死を知ったかということは彼の人格形成や行動に直結してくる問題であるだけに、解釈の違いを生むような表現にとどまってしまったことは少し残念です。
あと、「ケイトの記憶」もそうでしたが、「13」での彼は、陽気さやメリーへの溺愛ぶりなど、ちょっと問題ありでしたね。
(MAGI)
【4】カチュアと共にジェイナスに救助される
【11】ベルウィックの地面に大きな似顔絵を描く
【11】ステーションに荷物を取りに行き、遭難しかける
【15】カチュアをめぐってケンツと大ゲンカ
【21】ケンツに蒙古斑を見せ、意気投合
【36】突如出現したジャーゴにオシッコをひっかける
【39】ジャムを自作
【44】ケンツに自分の弟になるよう声をかけられる
【45】ケンツの薦めでルチーナの誕生パーティーに便乗
【45】ケンツから空薬莢をもらい、お礼にハーモニカを渡す
【46】ケンツと別れ、カチュアと共にククト星に向かう



マルロ・Jr・ボナー
2054年5月15日生まれ・4歳・A型


4歳。クレアドに移民していたが異星人の急襲を受けた際両親とはぐれ、隣に住んでいたルチーナと共にジェイナスに避難してくる。同い年であるルチーナには頭があがらないが、普段はよき遊び相手である。泣き虫でおねしょ癖があるが、これは年相応といったところか。

13人の中で、おそらく唯一固定ファンがつかなかったと言えるのがこのマルロでしょう(苦笑)。年齢的にルチーナとバランスを取るためのキャラクターが必要だったという「ポジション先行型キャラ」だったという事情もあるでしょうが、劇中では彼個人がメインに描かれるエピソードもなく、特に舞台がククト星に移ってからはルチーナと共にストーリーに絡まない、添え物的なキャラクターとなってしまいました。スタッフもこのことには多少なりとも後悔の念があったようで、のちの「13」第4話では彼を主役にしたエピソードが描かれています。オリジナルシリーズ後半が年長者寄りの展開になっていなければこの「13」第4話のように彼のキャラクターを生かす方法はいくらでもあったはずで、そのへんは不運な部分もあったのではないかと思います。
で、私自身も彼には特に思い入れはないんですが(こら)、最終回の母親との会話のような、視聴者の涙腺を刺激するエピソードがシリーズ前半で登場していれば、多少なりとも印象は変わっていたかもしれません。そのあたりは少し残念に思います。もっともこれは彼に限ったことではなく、ルチーナにしてもそうなんですけどね。
あと、彼をルチーナとセットで扱うか、扱わないかは脚本家の方によって非常に差があるポイントなので、注意して見てみると面白いです。
(MAGI)
【18】火災報知器にいたずらをして怒られる
【19】クレアとの入浴シーン
【19】おねしょをし、その後熱を出してしまう
【35】ケンツを連れ去ろうとするガイをパチンコで狙撃
【44】13人の両親の似顔絵を描く
【46】母親と通信



ルチーナ・プレシェット
2054年6月10日生まれ・4歳・B型


4歳。マルロと同様にクレアドに移民していたが異星人の急襲を受けた際両親とはぐれ、ジェイナスに避難してくる。同い年のマルロに比べて大人びたところがあり、必要以上にお姉さんぶって見せようとしているところがある。寝る時はクマのぬいぐるみを抱いている。第45話で誕生日を迎え、5歳になった。

当時をよく知る方ならご存知だと思いますが、放映開始前にいちばん話題になっていたキャラクターといえばこのルチーナでした。芦田氏本人が「モモのそっくりっ子」みたいな発言をしたのが引き金になったような記憶がありますが、髪の色も一緒でしたし、当時芦田氏の代表作といえばモモでしたから、ある程度そちらのファンを取り込むための発言だったんだろうな、と今になって思ったりもします。
そんなわけで放映前からマニア受けしていた彼女ですが、物語が始まるとけっこう気の強いキャラであることが分かって、ファンはサーッと引いていったような(笑)。当時もそういう「気が強いのでイメージと違う」みたいな論評がありましたけど、マルロとバランスをとるためにはああいうキャラにするしかなかったんじゃないですかね。あと第7話でバザムに追いかけられてパンツを見せまくるシーンがあり、当時のアニメ誌はやたらとその映像を紹介してましたけど(笑)、あれも含めてやはり話題作りのためのキャラだった間は否めないですね。もうちょい彼女のキャラを生かしたエピソードがあればよかったような気もしますが、このへんは「13」のラピス篇で多少溜飲が下がったかなという気がします。
シリーズ後半はクレアの引き立て役になったりしてめっきり影が薄くなりましたが、最大の見せ場と言えばタウト星収容所に書かれた両親のメッセージを見て大泣きするシーンでしょうか。最終話でマルロが両親と会話するシーンと合わせて、このへんはスタッフも丁寧に描写していたと思います。
余談ながら、設定資料の初期稿では「のちにロディにあこがれる」ことになってるんですよね、彼女。程度はともかくとして、劇中で実現していればエライことになるところでしたね。
(MAGI)
【2】年齢を聞かれて「5歳」と答える
【7】廃虚の街で迷子になり、バザムのカメラアイに追い回される
【18】火災報知器にいたずらをして怒られる
【19】クレアとの入浴シーン
【19】クレアに代わり、熱を出したマルロを看病
【29】収容所の壁に書かれた両親のメッセージに号泣
【44】13人の両親の似顔絵を描く
【45】5歳の誕生パーティ

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