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第20話
「立てスコット! リーダーはきみだ」

1984年03月09日放映


子供達は敵中継ステーションを突破する方法を模索していた。そんな中、リーダーのスコットが熱を出して倒れてしまう。バーツ達は独自の判断で出撃し、ニュートロンバズーカを操るケンツの活躍もあって見事に中継ステーションを破壊することに成功する。帰還する途中に敵の残存部隊に襲われた彼らはカチュアの不慣れな指揮もあってピンチに陥るが、復帰したスコットの見事な指示で無事ピンチを脱することに成功した。

タイトル通りスコット主役の一編です。敵の中継ステーションを目前に、スコットは過労で倒れてしまいます(表情がこわい)。リーダー不在の子供達はカチュアを暫定リーダーに任命し、ジェイナスの航路上に位置する敵中継ステーションの攻略に向かいます。ニュートロンバズーカを操るケンツの活躍もあって敵の中継ステーションは見事に撃破されますが、帰投しようとしたロディ達の前にARVが立ちはだかります。不慣れなカチュアの指揮によって窮地に陥るロディ達。それを見かねたスコットは病床から立ち上がり、再びキャプテンシートに座ります。彼の的確な指示でロディ達は窮地を脱し、彼らはスコットのリーダーとしての役割を再確認したのでした…。

…制作側としてはこの第20話でスコットのリーダーとしての資質を視聴者に印象づけた上で第3クール以降の展開につなげようと考えていたのでしょうが、実際にはこの次のエピソード(第21話)でのスコットの大活躍?によってこの回の印象は大きく薄れてしまいます。このことは制作サイドにとっても予想外の出来事だったといえるでしょう。しかし、仮にこの第20話が存在しない状態でエロ本のエピソードが放映されていた場合、シリーズを通しての彼のキャラクターがまた違ったものになっていたであろうこともまた事実です(第21話が視聴者に与えたインパクトを考えた場合、話の順番をこの第20話と入れ替えるということもおそらく不可能でしょう)。単独のエピソードとして見た場合にこの第20話が少々インパクトに欠けることは紛れもない事実ですが、この話がスコットというキャラクターの成立に欠かせないエピソードであることは間違いのないところです。

敵の中継ステーションの攻略に成功したことで、タウト星に向かうジェイナスの進路に障壁はなくなりました。カーゴルームから出る波の正体が依然つかめぬ中、スコットを中心に団結を深めた子供達は一路タウト星へと向かいます。

■これまでのストーリーの中では引き立て役ばかりで全く活躍の場がなかったケンツが、ニュートロンバズーカで敵の中継ステーションを撃破したことはこの回のひとつのポイントです。子供達が自力で中継ステーションを破壊したという事実はその後第22話におけるローデン大佐の意志決定に大きな影響を与えることになります。本篇の演出そのものはいまいち緊張感に欠けていることは否めませんが、この第20話がその後の子供達の旅のキーポイントとなった重要な回であることは間違いないと言えます。
■この話の制作時点で既に放映延長が決定していたせいか、クライマックス用のアイテムとして用意されていたニュートロンバズーカとツインムーバーが一挙に登場するのもメカファンは要チェックです。どちらもSF考証に基づいた「リアルな」メカとして出色ですが、第3クール以降舞台が地上に移ってしまったために登場シーンがこの回で最後となってしまったのは残念な限りです。
■過労で倒れてしまったスコットに代わってキャプテンシートに座ったのはカチュア。不慣れな彼女の指揮によって混乱に陥るロディ達、そんな様子を見かねたスコットが病床から立ち上がる…というのがこの第20話のみどころとなります。「スコット以外のメンバーにはキャプテン役は務まらない→やはり13人のリーダーはスコットしかいないんだ」という論法ですが、ここでスコットの比較の対象になるキャラクターとして指名されたのがカチュアだったのには少々異論があります。もともとカチュアは劇中では実際キャプテン以上に冷静なキャラクターとして描かれており、しかもブリッジにいるメンバーの中でも年は比較的下の方です。上の論法に説得力を持たせるためには、「スコットに次ぐ年長者(例えばクレア)が指揮を任されるが失敗→スコットが病床から立ち上がる」という形のほうがすっきりしていたかもしれません。事実カチュアがクルーの前でこのような明らかな失敗ぶりを見せるのはシリーズを通してこの回だけで、キャラクターの位置づけを考えた場合「カチュアはなんとかキャプテン代理をやりとげてしまった」ほうがしっくり来そうです(勿論本篇でそんなことになってはスコットは「消えた12人」の冒頭よろしくジェイナスを飛び出していってしまうに違いないので、ここではカチュアには何の役も与えないのがベター)。また、本篇とサブタイトルで「キャプテン」「リーダー」など、キーワードとなるべき語句の呼称がひとつに統一されていないのも若干気になるところです。
■スコットの冒頭のセリフ「僕が決めた通り、3日に一度は(風呂に)入ってるさ!」。うーん、わざわざ決めることじゃないかも。


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