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銀河漂流バイファム13
14
ぼくらの選択 タウト星をめざせ!

1998年7月4日放映


ルルド艦の脅威が去った子供達は、ラピスの母艦キエフ号と合流する。子供達がラピスの力を借りてタウト星の情報を仕入れようとしている時、ククト軍情報部が事情聴収のためにこちらに向かっているという情報が入る。子供達はククト軍到着前に自力でタウト星に向かうことを決め、ルービンをキエフに送り返すために一芝居打つ。全てを悟ったルービンはジェイナスを離脱し、再び13人だけになったジェイナスはキエフから離れて新たな目的地へ旅立っていくのだった。

ルルド艦の脅威が去り、双子の赤ちゃんとも別れた子供達は、ホルテ達が所属するラピスの母艦キエフ号と合流することになります。赤ちゃんが無事に母親と出逢えたという吉報が届く中、スコットとクレアを始めとする子供達がホルテ達と共にキエフ号に乗り移り、両親がいるタウト星の情報を仕入れようとします。ところがそこにククト軍情報部が事情聴収のためにキエフ号に向かっているという情報が入り、子供達は動揺します。ホルテ達に迷惑を掛けたくない子供達はククト軍が到着する前にキエフを離脱し、当初の予定通りに自力でタウト星に向かうことを決め、ひとりジェイナスに残っているルービンをどうにかしてキエフに送り返そうと一芝居打ちます。子供達が取った方法は、キエフ号との連絡が途絶えた事を装ってルービンに調べに行ってほしいと要請するというものでした。見え見えの演技だったにもかかわらず、子供達の心情を悟って自らキエフに戻ることを選択するルービン。ケンツはひとり格納庫に向かうルービンを引き止め、想いを寄せていた彼女に話しかけようとしますが、なかなか言葉が見つかりません。そんな彼に自分のネックレスをかけてやるルービン。彼女はジェイナスを後にし、残されたケンツはブリッジで去りゆく小型艇をじっと見つめています。そんな彼の心境にいち早く気付くシャロン。冒頭で赤ちゃんを失って落ち込んでいるところをケンツに励まされたシャロンが、ルービンと別れたことで自分と同じ立場となったケンツを気遣います。
そして再び13人だけになったジェイナスはタウト星に向け発進します。スコット達はホルテに対し、自分達の勝手を許してほしいと通信で告げます。そんな彼らひとりひとりの別れの言葉に耳を傾けるうち、これまで子供達を保護する対象として扱ってきた自分の行動が間違いであったことに気付くホルテ。すべてを理解した彼女からの励ましの言葉を胸に、ジェイナスは新たな目的地へ旅立っていくのでした。

■この回のクライマックスはケンツとルービンの別れのシーンでした。子供達だけでタウト星に向かう目的のために、率先して彼女を騙す行動に出てしまったことで良心の呵責に苛まれるケンツ。彼はひとり格納庫へ向かうルービンを追いかけ、想いを寄せていた彼女に自分の行動を謝ろうとしますが言葉が出てきません。しかし全てを悟っていたルービンは彼を責めようとせず、自分がつけていたネックレスをケンツにかけてやります。
「時々は、思い出してね。」
ルービンに持ち場に戻るよう促され、敬礼するケンツ。そんな彼に微笑み、敬礼を返して去っていくルービン。前回の13話におけるシャロンと双子の別れに比べると地味なシーンではありますが、ルービンとケンツの関係をよく表した感動的なシーンでした。特に最後のルービンの微笑みは、第9話でホルテに促されて笑みを浮べた時の彼女の表情と比較すると自然な感情の表れであったことがよく分かります(そこまで考えて演出されたとは思えませんが)。 そしてこのシーンにはこの回まで温存されていたBGM(音楽集Vol.1の12曲目)が用いられ、最大限の相乗効果を生み出していました。個人的には前の13話よりも「バイファムらしい」別れが描かれた名シーンだったと思うのですが、いかがでしょうか。
■作画監督が替わると絵が変わるのは共同作業である以上仕方のないことですが、今回はカットによって子供達の頭身が違うなど唖然とするシーンが続出。クレジットを見る限り動画は海外発注のようで、だいぶ制作サイドもあわただしいようです。個人的にはBパートなどで旧作に近い頭身の子供達が見れて良かった気もするのですが…次回以降の新エピソードの作画にかかりきりだから今回は仕方ない、と好意的に解釈しておきましょう(ちょっとムリがあるかな)。
■一足先にキエフ号にやってきたスコットがジェイナスに残ったロディ達に通信を入れるシーンでは、不気味なくらいスコットが壊れていました。「うふふ〜んもし両親の居所が分かればホルテさん達の力で話ができるチャンスだってぇ〜ん」キエフ号で妙なクスリを打たれてアホになったのかと思いました(失礼)。
■キエフ号にやってきた子供達全員がクリップ型の翻訳機を胸につけているという細かい演出の一方で、なぜか通信画面のラピスの画面が英語表記だったりとまれに解釈に苦しむ部分もありました。フレッドがペンチに着せられたセーラーなどの補給物資は地球向けに用意されたものであるとしても、どうしてキエフ号の遊技場に竹馬があるんだか。もっと異星の文化とのふれあいを丁寧に描いてほしかった気もします。
■ここまでホルテ達に冷たい態度を取ってきたバーツが、ホルテ達に通信で別れを告げる際に今までの非礼を詫びるシーンがあります。これまでの展開からするといささか唐突な感じもしますが、最後の最後でまとめるにはこうするしかなかったのでしょう。
■最後に一言、「キエフ号、新種のプランクトンみたい」今回はここまで。

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