【←前の話】 【放映リスト】 【次の話→】

銀河漂流バイファム13
15
危機一髪の大バトル!男性7人vs.女性7人!?

1998年7月11日放映


子供達だけで航海を続けるジェイナス。しかし船体の修理などの作業の連続によって子供達のイライラはピークに達していた。そんな中で些細なことからバーツとマキが口論を始めたのが発端となり、ついには男性陣と女性陣に分かれての戦争にまで発展してしまう。困り果てたスコットはゲームによって彼らを仲直りさせようとするが、失敗に終わる。そして彼らの冷戦は徐々に仕事にまで影響を及ぼし始める。意を決したスコットは彼らを一喝するために食堂に向かうが…。

タウト星に向かって再度出発したジェイナスの中で、クルーが男女が分かれての戦争が勃発します。事の発端は(冒頭から伏線はいろいろとありましたが)ルチーナに好きなリボンの色を聞かれたバーツが「ピンクが女の子らしい」と発言したことでした。その言葉を女性差別だとしてバーツに突っかかるマキ、クレア、シャロン、ペンチ。止めに入ったロディも彼女たちの発言にキレてしまい、彼らは真っ二つに分裂してしまいます(オロオロするスコットの描写がいい)。自動調理器の具合が悪かったこともあって女性陣は自分達だけで食事を取り、そそくさと席を立ちます。腹を空かせたケンツ、バーツ、ロディの3人はフライパンに残されたパスタを発見して大喜びで食べ始めますが、そのパスタにはシャロンによって大量のタバスコがかけられていました。激怒する3人。彼らは復讐として女性陣の部屋の前に段ボール等の荷物を山積みにします。スコットがキャプテンとして仲裁に入ろうとしますが、多数決を取ろうにもメリーを入れると男女同数。事態は悪化するばかりです。
困り果てたスコットは解決策として各チームから3人ずつを代表に選び、ゲームで決着をつけることを彼らに提案します。スコットは障害物競走とキャベツ切り競争を用意し、前者では男性チーム、後者では女性チームを勝たせることで引き分けに持ち込み、仲直りさせようと企みます。彼の予想とはまるで逆に障害物競走では女性チームのカチュア、キャベツ切り競争では男性チームのフレッドが優勝しますが、引き分けによる仲直りを主張するスコットは誰からも相手にされません。スコットの努力の甲斐もなく、冷戦状態は依然続くことになってしまいます。
そうこうするうち、スコットは対立の余波で仕事の引継ぎも満足にいっていないことをフレッドから聞かされます。彼は意を決し、彼らを一喝するために食堂に向かいます。ちょうどその頃、つまみ食いがバレて女性陣の前でズボンをずり降ろされ、尻をはたかれたケンツが復讐のために消火器を持って女性陣がいる食堂に乱入していました。バーツとロディも加わり、たちまち消火器のかけ合いに発展する食堂内。しかし消火剤が尽きる頃、子供達のストレスはすっかり解消されてしまっていました。食堂に乗り込んできたスコットは、全員で楽しそうに後片付けをする彼らの姿を見て逆にショックを受けます…。

かくして、子供達は以前と変わらぬ状態に戻り、ジェイナスは旅を続けるのでした。

■というわけで、ついにあの旧21話を超える?傑作が登場してしまいました。スコットをストーリーテラーにしての全篇コミカルなストーリーの展開は旧作ファンにとっては賛否両論あるでしょうが(特にこの回が新シリーズの始めの頃に放送されていた場合、また評価は違ったでしょう)こういったエピソードこそまさにバイファムの魅力を凝縮した回であることは間違いないでしょう。第1クールのクライマックスである前回の13,14話で作画の近永氏を温存し、この回に総力を投入した(たぶん)だけのことはあります。内容的にも監督の川瀬氏の得意分野といったところで、これほど子供達が生き生きと描かれた回は旧作を含めた中でも際立った出来。脱帽モノです。
■男女キャラ全員が2派に分かれての対決というシチュエーションの中でも、13人の中での位置付け上あまり壊してはいけないキャラ(カチュア、ジミーら)は他の子供達と分けて描かれていたところにスタッフ(というか脚本の伊東氏)の気配りを感じました。その一方、ここまでのストーリーの中で今回最も壊れていたスコットについてですが、何かあった時の「行動」についてはかつてのスコットの性格に忠実なものです。しかしその行動を起こす「描写」については我々の持っているスコット像とはかけ離れたものです。ショックを受けてギャグ顔になるスコット、彼を見るたびにテレビの前のスコットファンもおそらく同じような顔になっていることでしょう(笑)。まあ、個人的には今回の話にはマッチしていたと思うんですけどね。
■スコットがクレア達に八つ当たりする冒頭部分では旧20話と酷似する部分がありました。本編の方は旧21話に加え、OVA3巻の雰囲気を併せ持っているという表現が適切でしょうか(同じ伊東氏脚本による旧39話とシンクロする演出もありました)。今回は各キャラ同士の関係が定まっていなかった旧シリーズ前半の雰囲気を残しつつ、さりげなくフレッドを気遣うペンチ、同じくカチュアを気遣うロディとポイントはしっかり押さえられていました。他にも男勝りなマキの性格や、実は不器用であるクレアの設定もうまく生かされていて、見ていてうなってしまいました。あと、作画的には専門用語で言う「送り(同じコマの繰り返し)」の多用がいい味を出していました。
■サブタイトルにある「7人目の女性」はやはりククト山羊のメリーのことでした。双子下船後もジェイナスに残った彼女?ですが、なんだか妙にスコットとの絡みが多いですね(そういう意味でも、今回はオチの部分が少し弱かったかもしれません)。
■冒頭でジェイナス船体を修理するバイファムらRVの持っている粘着スプレーガンは新設定のもので、用途に応じて何タイプか用意されているようでした。またバーツ達とスコットの会話の中ではジェイナスの装甲が何層にも分かれている説明がありました。当たり前のこととはいえ、傷ついたジェイナスが修理される描写は旧シリーズではあまりなかったわけで、その意味でも注目される描写でした(バイファムに銃を突きつけられて両手を挙げるネオファムもユニーク)。
■カチュアが障害物競走の網を登っていく時の腰つきに目が行ってしまったという方、あなたの同志は少なくともここに一人はいます。安心してください(でも、描写の割にそんなに色っぽくはなかったような…)。あとはマキのタンクトップ姿とか、ロディの赤シャツとか、ファン大喜びの描写は他にもいろいろとありました。そちらの方でもなかなかファンのツボをついた回でしたね。ケンツの蒙古斑もありましたし(笑)。
■「バイファムニュース」で紹介されながらここまで使われなかったBGM「総員奮戦せよ!バイファム登場!!」が本編で初めて登場!…だったんですけどアクションシーンでの使用ではなく、スコットのセリフにかぶるだけでした…何だそりゃ…。
■最後に一言。「Bパート開始後6分32秒の後ろ向きのクレアの髪型、手足があって妖怪っぽいっス」今回は以上。

【トップページ】