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今回のテーマ

「バイファムを知らない人に勧めたいエピソード」



委員会公式見解
第9話
「雷鳴の中の敵襲・僕達だけで戦うんだ!」


というわけで今回から始まった「バイファム公聴委員会」。時にはマジメに、時にはマヌケにバイファムを語り合おうと言うこの企画、第1回のテーマは「バイファムを知らない人に勧めたいエピソード」という、マジメだけれどもちょっとクセのあるお題である。

「この企画の特徴は、誰がどんな内容を投稿しているのかを発表までは一切見る事ができないことです。それだけにどれだけオリジナルな意見が出ているのかがひとつの見ものというわけですね」

そのとおり。意外な意見が出ていたり、また偶然にも自分とまったく同じ意見が投稿されていたりする、これこそがこの「公聴委員会」ならではの面白いところだと言える。このコーナーに投稿された意見がもとで新たな話題が生まれるのもまた一興、というところであろう。

「それにしても右のバイファムは、どうして膝をかかえてスネているのでしょうか?」

それは今に分かる。では早速、今回投稿された意見を話数順に紹介。


(本文中敬称略)

第1クール派

第3話→僕が初めて(本放映当時は除いて)観たから。……いや、でもぐぐぐぐぐぐっと引き込まれたんですよ。難点はバーツとカチュアが未登場なところかな。(上村@一橋大・男性)

第5話 憧れの操縦席・ラウンドバーニアン始動→メカのシーンと13人の生活のシーンが程ほどにある事、話数的にも早めな事、今後の展開が気になる終わり方な事。まだ見ていない人をバイファムにハメ落と・・もとい、見続けて貰う様に仕向けるにはお手頃だと思うであります(ケンツ・男性)

第9話→ベルウィック星のまだ全員がまとまらずにいる混乱の中の話で、宇宙が出てこないのはアレなんだけど「みんなで出ていけばビックリして逃げてくれるかも」とかいかにも子供らしい発想でRVに乗る所や、この回で初めて協力して敵を撃退(追い払う)するなどバイファムのその後の話の原点っぽい。ケンツの「逃げる異星人をどうして撃たなかったんだ」という問いに「俺達は殺しやじゃないんだ」というバーツのセリフもよかった。(匿名希望・女性)

第9話「雷鳴の中の敵襲、僕達だけで戦うんだ!」→ 理由の要旨は、初めて見る者に対し「バイファムとは」を説明できる内容であること。1 「バイファム」の状況を比較的端的に、かつ1話で提示できている。 (1) ケイトさんを除いた大人がいなくなっている。(人的舞台設定の完成。クレークはキャラ人気には影響なし) (2) ケンツが出しゃばって敵を先制攻撃する(ケンツのトラブルメーカー=話の進行役的役割の提示) (3) 子供達がRVで敵を迎撃する(戦争という極限状況を、子供達が「大人のツール」を利用して克服する、という、本作品のいわばエキスと言えるシチュエーション) (4) 生身の異星人が出現し、「敵」の存在について興味を保持させ得る。2 今後の展開(惑星脱出か、司令部合流か)について興味を維持増進させる事ができる。3 ストーリーの比較的初期であり、今後自発的に続きを見たとしても、充分に「バイファム」のストーリーを堪能できる。 要するに「こんな話で、続きを見たくない?」と言える話という意味。但し、個人的に気に入っている話とは符合しませんけど。以上のように愚考いたします。(天狼星・男性)

10話(分裂→再団結の話)→21話や最終話は「知ってもらった後に勧めたいエピソード」なのでオミット。で、「子供たちが団結して困難に立ち向かう」というバイファムの「らしさ」が1話で出てるエピソードを選ぼうとしたらやっぱりこれのような気がする。個々に関しても、行動派のロディとバーツ、それをなんとかまとめようとするスコットという馴染みの構図に、ケンツの涙もろさも描かれてるし。やっぱり勧める以上は最初から全部見て欲しいという思いがあるので、この序盤のあたりで興味持ってくれたら、最初から見直してくれる可能性が高いかと。そういった意味では、フレッド・シャロン・ケンツが高ゲタ作ってる8話も捨て難いんですけどね。(MACH・男性)

第10話 宇宙か地かーーーーーーーー基地攻防の大決戦!→実は私がバイファムにはまるキッカケの話でした。だから僕みたいな人ははまるのではないかと・・ ^^;この1話は内容が濃いですね。ロディーとバーツの意見が別れた話で、結局みんな自分の考えを信じて分裂したんですよね。ロディーの方には成りゆきみたいな人もいますけど・・。結局アゾレック基地は急襲に遭ってて、いち早く察知したロディーとスコットが助けに行く、そしてバーツは責任をとり囮になる。そしてバーツが『やられた』と思わせといて、いかにもって感じで現れる。これには感動しましたね、僕は。1話で(30分)で『起承転結』が織り成されているので、バイファムを知るにはこの話がいいんじゃないかなって思います。(デルヒテ・男性)

第12話「発進準備完了! 地球へ向けて出発だ!!」→特に目立つエピソードがある訳じゃないけど、何の予備知識もない人にバイファム世界の土台を知ってもらうには、この話が一番だと思う。子供たちのいかにも彼ららしい動きが、さりげなく随所に見られるのがポイント。この話のおもしろさが分かる人は、きっと他の話も気に入る筈。あれこれ悩むスコット、鉄骨の片づけに活躍する3人、冷静なカチュア、子供達を見守るケイト、スコットの後で腕を組むクレアや先走りをたしなめられるケンツなど、各キャラの役どころがわかる。特にジミーとおちびさん達がきちんと描かれており、なぜ彼らが物語に必要なのか理解できる。一方で、遺跡(石板)やコンピュータ、さらにはRVや無重力の描写など、バイファムのSF的一面が俯瞰できるのも見逃せない。カチュアの運命が暗示されるのも重要。何より最後に13+1名の紹介があるので、キャラの名前と年齢が覚えやすいというメリットが大きい(笑)。(ほうがん・男性)

第13話→まずはバイファムとジェイナスが登場していることが必須条件。また子供達が戦闘に慣れておらず、目の前に現れた敵を退けるために止むを得ず出撃する…というスタンスが貫かれていることが条件。となれば必然的に、RVを用いての初の空間戦闘が描かれるこの第13話ということになる。冒頭からの13人の日常描写に加えてロディの主人公的役割やスコットのリーダーシップもきちんと描かれており、ラストシーンでは大破して漂流する敵艦を見て「私達もあんなになっちゃうのかなぁ」「寒そう…」のセリフも「いかにも子供達らしい視点でのセリフ」として効いている。(匿名希望・男性)

第2クール派

15話→ それぞれの個性がわかりやすくえがかれている回だと思います。特にシャロン・ケンツ・ジミーの動きがいいですよね。カチュアの描写も良くて、話の展開上次の回が見たくなるに違いありません。 そして、なんといってもケイトさん!これで多くの男性陣がバイファムファンになってくれることでしょう。(笑)女性陣もあのロディにはキュンとなるのでは? 実は私自身この前の回から見始め、この回で見事にバイファムにはまったんです。だからきっとこの回を見せれば全話見たくなるに違いありません。(説得力がないなぁ。)(なつめ・女性)

ペンチが133人分ごはんつくって、ケンツが外であばれるはなし。(編注:第18話)→特に何があるってわけじゃないんだけど、子供たちがよいんです。まあストーリー的には余分なエピソードかもしれないけど、最後のスコットのセリフが、初めて見る人の実感となって(この子達ほんまにどうなるねん)「はじめっからみしてーやー」となるような気がします。で、全部みせる、と。(笑)(らら・女性)

20話「立てスコット!リーダーはきみだ」→内容的にはもっと面白い話もありますが(例えば21話「敵ビーム波状攻撃?僕たちに明日はある」はいわゆる名(迷?)シーン、その後に続くエピソード(エロ本ネタなど)もあり、珠玉の名作であると思います)、ここはあえて、ということで。「バイファム」という作品は、いわゆる「ロボットアニメ」なのですが、他の作品(例えば「ガンダム」等)と比較すると、あくまでも「戦闘シーン」は従であり、主は「(13人の子供たちの)人間ドラマ」になっていることが特徴になっていると私は思います。初めて「バイファム」という作品を知ったとき(それも「サンライズ大全史」等の本を読んで知った場合等は特に)、「子供たちがどのようにロボット(あえてこう言います)を動かしているのか?」「子供たち13人はどんな感じのキャラなのか?」「最年少(4歳!!)のルチーナやマルロはどのように関わっているのか?」などの「当然の疑問」が浮かんでくることと思います。この点をふまえて、「戦闘シーン」と「(13人の子供たちの)人間ドラマ」を両立させ、かつ「ジェイナスで航行中」の際の話(初めて見る人にはこのシチュエーションがなじみやすいでしょう)となると、20話ということになると思います(ルチーナとマルロの関わり方が分かるかどうかは疑問が残るかもしれませんのが。出来れば18〜21話を連続で見てもらうと大体の「ノリ」が分かると思います)。なお、次点として、「ジェイナス航行中」という条件を外した場合では、36話「収容所に向かえ!」をおすすめします(出来れば、35〜38話を連続で見てもらうとさらに良いかと思います)。(tom・男性)

オリジナルの第21話「敵ビーム波状攻撃?僕たちに明日はある」→続きが見たくなるように相手を引きずり込ませるのなら(ウチの弟が私によくやる)13の第1話かなと思ったのですが、1話だけということで、オリジナルの第21話「敵ビーム波状攻撃?僕たちに明日はある」を押します。なぜならほとんどのキャラクターの魅力爆発な話だからです。微妙な年頃にぴったりな話題満載なので、できたら今の小中学生に見てもらいたいです。(なべなべ・女性)

21話:エロ本にまつわるエピソード→少年が必ず通る道なので、男ならわかってもらえるさ。絶対!(St.Pegasus・男性)

第3〜4クール派

第24話か第25話(参考意見)→総集編だから。総集編は、タテマエ的には今から観たい人のためという意味合いがあることだし。OVAの第1、2巻は設定的に本編を観た人でないとつらい(それに2話になってしまう)、また「13」第1話は絵の新旧の乖離が知らない人にはついていけないと思う。(上村@一橋大・男性)

31話(参考意見)→題して「@カチュア同盟が「布教」活動の為に用いるならば・・・」31話「みしらぬ星ククト」そう、毒虫に噛まれたロディの手当てをすべく必死になるカチュアさまの瞳を見ればもうイチコロさっ。ああっ、ロディの人さし指になりたい〜〜〜(絶叫)アホなハナシはさておき、それまでなんとなく「冷たい」人物として描かれていた(描かざるを得なかった)彼女が初めて温かみのある行動をとった・・それがロディの手当てシーンであり、ちょっとうるうるした瞳である。と思っています。(とり@カチュア同盟・男性)

第31話→主役が解りにくいと言われるバイファムで、最も主役が長時間画面に出ていた話なので。もちろん主役というのは「カチュア」のことです、うん。また主役が最もインパクトを与えたという33話も有力候補でした。(さんぷる・男性)

ガイたちとの出会いから別れまで。(参考意見)→人と出会うことの素晴らしさ、お互いを理解しようとすることなど、色々と教えられることの多いエピソードだった気がします。(come・男性)

第45話→「バイファムを知らない人に」1話のみを選ぶとするならば、ケンツのジミーに対する思いやり、「ジミーのくれたおまもり」と言って嫌いなトカゲのしっぽを抱きかかえるルチーナ、とっさにジミーの分のろうそくをたしてケーキを差し出すクレアなどなど、ジェイナスの子どもたちの優しさにみちた、それぞれの成長を感じさせるこのルチーナの誕生パーティをお勧めしたいです。(かつらぎ・女性)

オリジナル・バイファム 第46話「いつまでも13人」→スコットのセリフ「地球軍の兵士もククトニアンの兵士も戦場に行くとき家族連れで行けばいいと思うんです。奥さんや子供が危ない目にあえば、戦うのがイヤになると思うんです。」に対してデュボアは嗤う。この場面は物語のコアとなっている。スコット版「戦争絶滅うけあい法案」に対して、そう簡単にはいかないと嗤うデュボア。異なる考えや個性をもつ者たちが、どのように平和を作っていくか。これは永遠のテーマである。ラスト。個性の違う13人の子供たち。その中でもみんなと違う意志決定をした二人が、物理的に離れてしまう。しかし心は繋がっているというあの表現に誰もが驚くに違いない。最近のアニメ作品は、破綻した物語が目立つがそれでよいのか? 永遠に残すという意味での「古典」として、この最終回を、すべての物語作家にささげたい。バイファムの個性(オリジナリティ)はこの最終回に、一番でている。(saku・男性)

46話→バイファムを知らない人に一つだけ見せるなら・・・これだけ思い入れのある物語だから候補はいくらでもあります。ですが、僕はあえて最終回「いつまでも13人」を推薦したいです。なせなら、初めがあって終わりがある芸術作品(音楽、映画を含めた映像作品、舞台etc)において「エンディングがつまらないもの」が殆どである中(ドラマやアニメ等のOP等に使われる曲が時間の制約のため強引にカットされたら印象がわるいでしょ?)、バイファムの最終回は期待を裏切るハッピーエンディングだからです。地球軍とやっと接触し、両親の無事も確認できた。でもカチュアは本当の両親を探すためにジミーとククトに残ることにした。ここまでで終われば普通のエンディングです。しかし、あの感動はなんだったのか?そうです、SF設定としては絶対にありえない「紙飛行機」ですね。凝った映像演出とか異常に泣かせる音楽じゃなくて何の変哲もない紙飛行機がスタッフと視聴者の心を大団円に向かって「運んで」くれたのです。こんなに見ていてすがすがしい終わり方は他にないと思っています。もちろんそれまでのエピソードがあった上での「最終回」なので今回のテーマにそぐわないと自分でも思っています(笑)が、あえて・・・ということで。(とり・男性)


投稿結果(総投稿数 20)


第9話2票
第10話
第21話
第46話
その他15票
無効票3票
一部にある「参考意見」というのは、意見そのものを複数投稿したか、或いは話数を1話に絞られていないために今回の審査では参考扱いとなった意見である。それにしても、こんなところにまで@カチュア同盟が進出してきているとは。

「警察を呼んだほうがよろしいでしょうか」

いや、今回はとりあえず見逃しておこう。それにしても興味深いのは、1/3以上の回答がシリーズ初期の「ベルウィック星篇」に集中している点である。お題がお題だけに物語の導入部分に票が集まるのはある意味自然だが、それにしても相当偏っている。孤立した子供達が力を合わせて異星人に立ち向かおうとするこの期間が最もバイファムらしいエピソードである、ということであろうか。

「主役メカのバイファムが一切登場していない時期であることも興味深いですね」

決してバイファムが出てきたらダメということではあるまいが、少なくともバイファム世界を説明するためにRVが必須条件でないことが見て取れる。第2クール以降でも第21話・最終回などバイファムが戦闘をしない回への投票が多いし、やはりバイファムの主役は子供達であって「ラウンドバーニアン・バイファム」については二の次ということであろう。

「エロ本騒動で有名な21話、および最終話についてはどうでしょうか」

複数の得票があるこの2話の扱いは非常に難しいところである。今回のお題が「最も印象的なエピソード」であればこれらの回が上位に来ていたことはほぼ間違いないが、とり氏やMACH氏の意見にあるように、この回はどちらかというとバイファム世界を理解した後に楽しむべきエピソードということで、初めて見る回としてはちょっと…というところか。saku氏の説得力のある意見も捨てがたいが、これらのエピソードはおそらくどんな機会でも注目されると思うので、今回は思いきって見送り。

「では公式見解はやはりシリーズ前半、特にベルウィック星篇の話が中心ということになりますね」

そのとおり。記念すべき第1回のお題「バイファムを知らない人に勧めたいエピソード」に対する当委員会の公式見解は、ベルウィック星篇の第5〜11話のうち最も意見に説得力があり、かつ複数投票があった第9話「雷鳴の中の敵襲・僕達だけで戦うんだ!」に決定。ただしどうしても「銀河漂流」の条件を満たしていないとダメという意見もあると思うので、次点として第12話を推薦しておきたい。

「どちらにしてもバイファムの活躍らしい活躍が全く見られない回なのですね」

あ、ほんとだ。だからバイファムが上でスネておるわけだな。
(了)


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